「元」「本」「基」「下」の意味の違い
【元】物事の始め、以前、近くの場所
【本】物事の根幹
【基】土台、根拠
【素】素材、原料
【下】物のした(の辺り)、影響・制約を受ける範囲
「元」「本」「基」「下」は、すべて「もと」と読む異字同訓の語です。
「元」は、物事が生じる始まりや原因を意味します。そこから派生して、何かを生み出すものという意味や、以前の状態という意味で用いられることもあります。
また、ある物の近くの場所、その物が存在する辺りという意味で用いられることもあり、この意味では、「許」という字が当てられることもあります。
「本」は、物事の根幹となる部分という意味を表します。根本。
「基」は、物事を支える土台や根拠という意味を表します。「もとい」とも読みます。
「素」は、素材や原料という意味です。
「下」は、ある物のした(の辺り)の位置という意味です。そこから転じて、あるものの影響または制約を受ける範囲においてという意味で用いられることもあります。
「元」の使用例
- 過労が元で寝込む
- 元はと言えば
- 家元(いえもと)
- 元々(もともと)
- 火の元(ひのもと)
- 元を取る(掛かる)/元手(もとで)
- 製造元
- 元栓を閉める
- 元の住所
- 元に戻る
- 元通りにする
- 元首相
- 親元(親許)/手元(手許)/身元(身許)/枕元(枕許)
- 失敗は成功の元(しっぱいはせいこうのもと)
- 口は災いの元(くちはわざわいのもと)
- 元の鞘に収まる(もとのさやにおさまる)
- 元の木阿弥(もとのもくあみ)
- 元も子もない(もともこもない)
「本」の使用例
- 農は国の本なり
- 生活の本を正(ただ)す
- 臭いの本を絶つ
- 根本(ねもと)
「基」の使用例
- 発展の基となる
- 資料を基にする
- 実話を基にした小説
- 経験に基づく
「素」の使用例
- 絵具の素
- 大豆を素にしてつくる
「下」の使用例
- 花の下で飲む
- 旗の下に集う
- 垣根の下
- 足下(足元、足許)が悪い
- 監視の下に置かれる
- その条件の下で行う
- 正義の名の下に戦う
- 教授の指導の下で研究する
- 法の下の平等
- 一撃の下に倒す
- 白日の下にさらす〔=暴露する〕
- 灯台下暗し(とうだいもとくらし)〔=身近にあるほうが見落としがちである〕