「差し上げる」の意味
差し上げる(さしあげる)
意味:「与える・やる」の謙譲語
「差し上げる」は、本来、手に持って高く上げるという意味です。そこから、二通りの意味を表します。
一つは品物を与えるという意味の謙譲語で、もう一つは恩恵的に何かをするという意味の謙譲語です。
後者の意味で用いる場合には、「~て差し上げる」の形で用います(補助動詞)。
「差し上げる」は、謙譲語、すなわち、行為をする者(話し手)がへりくだることによって間接的にその行為を受ける者(聞き手)を高めることばです。
したがって、(身内以外の)他人が与えるなどの行為をする場合には、「差し上げる」を用いることはできません。
同じ意味の謙譲語(丁寧語)に「あげる(上げる)」がありますが、「あげる」は敬語として意識されることが少ないので、謙譲語として用いるのにあまり適切ではありません。
「差し上げる」の使い方
品物を与える、あるいは、恩恵的な行為をする意味の謙譲語として用いられます。後者の意味では、「~て(で)差し上げる」の形で用いられます。
ご参加いただいた方に粗品を差し上げます。〔=与える〕
駐車場までお荷物を運んで差し上げます。〔=(~して)やる〕
「(~して)やる」の意味の「差し上げる」は、恩恵的な行為をするという意味なので、上から物を言う印象があるかもしれません。
それを避けたいときには、「お(ご)~する」「お(ご)~いたす」「お(ご)~申し上げる」などの謙譲表現を代わりに用いることもできます。
駐車場までお荷物をお運びいたします。
「差し上げる」は、謙譲語なので、身内以外の他人の動作について用いることはできません。敬意を向ける相手の動作に「差し上げてください」という表現は間違いです。
✕ これをご主人様に差し上げてください。
○ これをご主人様にお渡しください。
身内の者が他人に対してする動作についてであれば、「差し上げる」を用いることができます。
お客さまを駅まで送って差し上げろ。
「差し上げる」の類似表現
- あげる〔=やる(の謙譲語)〕
- お(ご)~する
- お(ご)~いたす
- お(ご)~申し上げる